プロが教える|外構工事と造園工事の違いとそれぞれのメリット・デメリット
愛知県東海市を拠点に活動している株式会社原田造園です。1987年の創業以来、37年にわたり東海市・知多市・名古屋市南部エリアで外構・エクステリア工事、造園工事を手がけてまいりました。お客さまから「外構工事と造園工事はどう違うの?」「どちらに依頼すれば良いの?」といったご質問をよくいただきます。今回は、外構・造園の専門業者として培った経験をもとに、この2つの工事の違いとそれぞれのメリット・デメリットについて詳しく解説いたします。
外構工事と造園工事の基本的な違い
外構工事と造園工事は、どちらも住宅の外部空間を整える工事ですが、その目的や対象範囲には明確な違いがあります。まず、それぞれの定義から詳しく見ていきましょう。
外構工事の定義と対象範囲
外構工事とは、建物の外部空間を機能的に整備するための工事を指します。具体的には、駐車場、フェンス、門扉、アプローチ、テラス、デッキ、照明などの構造物の設置や施工を行います。これらの工事は、建物の機能性や美観を向上させるだけでなく、防犯対策やプライバシー保護の役割も果たします。
外構工事の主な対象となるのは、住宅周りの構造物全般です。カーポート、物置、ブロック塀、舗装工事、排水設備なども外構工事に含まれます。また、建設業法では「とび・土工・コンクリート工事業」に分類され、実用性と機能性を重視した構造物の設置が中心となります。
造園工事の定義と対象範囲
一方、造園工事は庭園や公園、住宅の庭などの緑地空間を計画・設計・施工することを指します。国土交通省の建設業法では「造園工事業」として独立した業種に分類されており、「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」と定義されています。
造園工事には植栽工事、地被工事、景石工事、地ごしらえ工事、公園設備工事、広場工事、園路工事、水景工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事などが含まれます。美しい景観を創り出すことを目的とし、自然の要素を取り入れた空間づくりを通じて、人々の生活環境を豊かにすることが主な目的です。
項目 | 外構工事 | 造園工事 |
---|---|---|
主な目的 | 機能性・実用性の向上 | 美観・自然環境の調和 |
対象範囲 | 建物周りの構造物全般 | 緑地空間・庭園・植栽 |
建設業法分類 | とび・土工・コンクリート工事 | 造園工事業 |
使用材料 | アルミ商品・コンクリート・石材 | 植物・自然石・土・砂 |
施工期間 | 1週間~1ヶ月程度 | 2週間~2ヶ月程度 |
外構工事のメリット・デメリット
外構工事には、実用性を重視した特徴があります。ここでは、外構工事を選択する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
外構工事の主なメリット
外構工事の最大のメリットは、即座に機能性を実感できることです。カーポートを設置すれば雨の日の車の乗り降りが快適になり、フェンスを設置すれば防犯性とプライバシーが向上します。また、舗装工事により雨天時の泥はねや雑草の心配が大幅に軽減されます。
費用面でも、造園工事と比較して初期投資を抑えやすいという特徴があります。例えば、駐車場の舗装工事であれば1平方メートルあたり8,000円~15,000円程度、フェンス設置は1メートルあたり8,000円~20,000円程度が相場となっており、明確な価格設定が可能です。
さらに、メンテナンスの手間が少ないことも大きなメリットです。アルミ製のカーポートやフェンスは耐久性が高く、年に数回の清掃程度で美観を保てます。コンクリートやタイルの舗装面も、高圧洗浄による定期清掃だけで十分な場合がほとんどです。
外構工事は「すぐに効果を実感したい」「メンテナンスを最小限に抑えたい」「予算を明確にしたい」という方に特におすすめです。東海市の気候特性を考慮した塩害対策も、アルミ製品を中心とした外構工事で効果的に対応できます。
外構工事の主なデメリット
外構工事のデメリットとして、無機質な印象になりがちなことが挙げられます。コンクリートやアルミ製品が中心となるため、温かみや自然の美しさに欠ける場合があります。特に、全面をコンクリート舗装にした場合、夏場のヒートアイランド現象により周辺温度が上昇する可能性もあります。
また、将来的な変更が困難であることもデメリットの一つです。一度設置したカーポートやコンクリート舗装を移動・変更するには、大規模な工事が必要となり、追加費用が発生します。特に家族構成の変化やライフスタイルの変化に対応しにくいという特徴があります。
環境面では、雨水の地下浸透を妨げる可能性があります。舗装面積が大きいと、雨水が一気に排水溝に流れ込み、局所的な浸水リスクを高める場合もあります。東海市のような沿岸部では、台風時の排水対策として特に注意が必要です。
造園工事のメリット・デメリット
造園工事は自然の美しさと機能性を両立させた空間づくりが特徴です。ここでは、造園工事を選択する際のメリットとデメリットについて詳しく説明します。
造園工事の主なメリット
造園工事の最大のメリットは、四季の移り変わりを楽しめる美しい空間を創出できることです。シンボルツリーの新緑、季節の花々の開花、紅葉など、一年を通じて変化する景観は住む人の心を豊かにします。東海市の温暖な気候は多様な植物の栽培に適しており、年間を通じて緑豊かな庭を維持できます。
環境面でのメリットも大きく、植栽による自然の冷却効果で夏場の温度上昇を抑制できます。樹木の蒸散作用により周辺温度が2~3度下がることもあり、エアコンの使用量削減にもつながります。また、雨水の地下浸透を促進し、局所的な浸水リスクの軽減にも貢献します。
心理的な効果として、植物の緑は視覚的にリラックス効果をもたらし、ストレス軽減に役立ちます。特に在宅ワークが増えた現在、庭を眺めながらの仕事は生産性向上にも寄与します。鳥や昆虫などの生き物も集まり、自然とのふれあいを日常的に楽しめます。
造園工事の主なデメリット
造園工事の主なデメリットは、継続的なメンテナンスが必要なことです。樹木の剪定、施肥、病虫害防除、除草作業など、季節に応じた手入れが欠かせません。特に愛知県は高温多湿な気候のため、夏場の雑草の成長が早く、定期的な除草作業が必要になります。
費用面では、初期投資だけでなく継続的な維持費用がかかります。造園工事業者による年間メンテナンスは50,000円~150,000円程度、樹木の剪定は1本あたり3,000円~15,000円程度が相場となります。また、台風による倒木リスクや、成長による近隣への影響なども考慮する必要があります。
即効性に欠けることもデメリットの一つです。植栽した樹木が理想的な大きさに成長するまでには数年を要し、完成形をイメージしながら長期的な視点で庭づくりを進める必要があります。
費用項目 | 外構工事 | 造園工事 |
---|---|---|
初期投資 | 50万円~200万円 | 30万円~300万円 |
年間維持費 | 1万円~5万円 | 5万円~15万円 |
樹木剪定(1本) | 対象外 | 3,000円~15,000円 |
舗装工事(1㎡) | 8,000円~15,000円 | 対象外 |
植栽工事(1㎡) | 部分的のみ | 15,000円~20,000円 |
工事内容別の具体的な比較
実際の工事内容を具体的に比較することで、外構工事と造園工事の違いをより明確に理解できます。ここでは、代表的な工事内容について詳しく解説します。
駐車場・アプローチ工事の比較
外構工事における駐車場は、コンクリート舗装やアスファルト舗装が主体となります。耐久性が高く、車の重量にも十分対応でき、雨天時でも安全に歩行できます。施工期間は3~7日程度と短く、完成後すぐに使用可能です。費用は1平方メートルあたり8,000円~15,000円程度です。
一方、造園工事のアプローチでは、自然石やレンガ、枕木などの素材を使用し、周囲に植栽を配置して美しい景観を創出します。歩く楽しみを感じられる空間となりますが、施工には2~3週間程度を要し、費用も1平方メートルあたり20,000円~40,000円程度と高くなります。
境界・目隠し工事の比較
外構工事では、アルミフェンスやブロック塀による境界設定が一般的です。明確な境界線を設け、防犯性を高める効果があります。高さや色、デザインのバリエーションも豊富で、建物の外観に合わせた選択が可能です。メンテナンスはほとんど不要で、設置後10~15年程度は美観を保てます。
造園工事では、生垣や樹木による自然な境界設定を行います。季節による変化を楽しめ、やわらかい印象を与えますが、定期的な剪定や病虫害対策が必要です。成長に伴い隣地への配慮も必要になる場合があります。
工事種類 | 外構工事の特徴 | 造園工事の特徴 |
---|---|---|
駐車場 | コンクリート・アスファルト舗装、即座に使用可能 | 自然石・レンガ・植栽組み合わせ、景観重視 |
境界・目隠し | アルミフェンス・ブロック塀、明確な境界 | 生垣・樹木、自然な境界・季節変化 |
照明 | LED外灯・スポットライト、防犯重視 | 庭園灯・間接照明、景観演出 |
排水 | 雨水桝・側溝、効率的排水 | 浸透桝・植栽による自然排水 |
東海市における地域特性を考慮した選択
東海市の地域特性を考慮すると、外構工事と造園工事のどちらを選ぶべきかの判断材料が見えてきます。地域の気候や環境に適した選択をすることが重要です。
知多半島の気候特性への対応
東海市は知多半島に位置し、温暖な海洋性気候が特徴です。年間を通じて比較的温暖ですが、夏場は高温多湿になり、台風の影響も受けやすい地域です。また、海に近いため塩害対策も重要な要素となります。
外構工事では、アルミ製品の耐塩害仕様を選択することで、海風による腐食を防げます。コンクリート舗装は塩分による劣化にも強く、長期間美観を保てます。台風時には、しっかりと基礎工事を行った構造物が安全性を確保します。
造園工事では、潮風に強い植物の選定が重要になります。クロマツ、トベラ、ハマヒサカキなどの海岸性植物は東海市の環境に適しています。ただし、台風時の倒木リスクを考慮し、適切な支柱設置や定期的な健康診断が必要です。
住宅密集地における配慮
東海市の住宅地では、隣家との距離が近い場合が多く、プライバシーの確保と近隣への配慮が重要です。外構工事では、適切な高さのフェンスやスクリーンの設置により、確実なプライバシー保護が可能です。
造園工事では、成長後の樹木の大きさを考慮した植栽計画が必要です。隣地への枝の越境や落ち葉問題を避けるため、定期的な剪定と適切な樹種選択が求められます。
東海市では塩害対策と台風対策が重要です。機能性を重視するなら外構工事、自然の美しさを求めるなら潮風に強い植物での造園工事がおすすめです。当社では37年の地域密着実績をもとに、最適なご提案をいたします。
最適な業者選択のポイント
外構工事と造園工事の違いを理解した上で、信頼できる業者を選ぶことが成功の鍵となります。業者選択で注意すべきポイントを詳しく解説します。
専門性と実績の確認
外構工事と造園工事では、必要な技術や知識が大きく異なります。外構工事では建設業許可(とび・土工・コンクリート工事業)、造園工事では造園工事業の許可を持つ業者を選ぶことが重要です。また、施工管理技士などの有資格者が在籍している業者は、技術力の証明となります。
実績面では、同エリアでの施工実績が豊富な業者を選びましょう。東海市の気候や地盤条件を理解している地域密着型の業者は、適切な材料選択や施工方法を提案できます。過去の施工事例を確認し、希望するスタイルの実績があるかも重要なポイントです。
アフターサービスと保証内容
外構工事では、構造物の保証期間や不具合発生時の対応体制を確認しましょう。一般的に、カーポートやフェンスは5~10年、コンクリート工事は3~5年程度の保証が付きます。
造園工事では、植栽の枯れ保証や定期メンテナンスサービスの有無が重要です。植栽後1年以内の枯れ保証や、年間管理契約の内容を詳しく確認しましょう。また、成長による問題が発生した際の対応方針も事前に確認しておくことが大切です。
外構工事と造園工事は、それぞれ異なる魅力とメリットを持っています。機能性と即効性を重視するなら外構工事、自然の美しさと環境への配慮を重視するなら造園工事が適しています。東海市という地域特性を活かした最適な選択により、快適で美しい住環境を実現できます。株式会社原田造園では、両分野の専門知識を活かし、お客さまのご希望に応じた最適なご提案をいたします。お庭や外構に関するご相談は、ぜひお気軽にお声かけください。
株式会社原田造園
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